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人生の転機を振り返る

私が、ブラジル音楽を始めて今年で10年を越えようかという年月が流れました。
プロフィールにも書いてありますが、大きなきっかけとして、Celsinho Silvaさんと加々美淳さんの演奏を直に聴いた事が挙げられます。
Celsinhoさんが10年程前に来日された際にパンデイロのワークショップを開催されるとの事で、当日パンデイロに興味があった自分は、叩き方を勉強できれば位の軽い気持ちで参加した記憶があります。
楽器の持ち方や、動かし方、どの辺に手を当てればよいかなど初心者の自分にとってとても為になる事を教わりました。
一通りの奏法の解説等が終わって、最後に演奏をして下さいました。
その時、加々美さん(ギター)とCelsinhoさん(パンデイロ)でお2人とも歌うスタイルでした。
演奏が始まってすぐに、これまで味わった事の無いような感覚に襲われました。
とても勢いのあるサンバの曲だったのですが、何故か時間がゆっくり流れているような感覚を感じます。
まるで太極拳の動きを見ている時のようなゆったりとした感じです
でもテンポはかなりあります。
原因がよくわからずとても不思議でしたが、感覚としてはとても気持ちよいのでまた聴きたいと思いました。
後日、お2人を囲むライブがあるとの事でこれは行かねば!と仕事を切り上げて会場に向かいました。
そこで今回モーションブルーでご一緒させて頂いた今井亮太郎さんも参加されていました。
今までサンバというと、リオのカーニバルのイメージしかなかったのですが、優雅で美しい音楽という事を初めて知りました。
とにかく楽しいなぁと思ったのは覚えてます。
ライブの最後の方で、先日のワークショップで演奏されてたサンバが始まりました。
ここでとても不思議な感覚に襲われました。
先日は太極拳のようなゆったりした感覚を味わいましたが、今日は大きな波が次々と押し寄せて来るような疾走感のあるうねりを感じます。
同じ曲で同じ方々が演奏されているのに、全く違う印象を持った事がとても不思議で魅力的に思えて、以来サンバの勉強を始める事になりました。
今となっては、何故そのような違う感覚を持ったのかは自分でもよく理解できるのですが、当時の自分にとってはとても不思議な事でした。
今回、実際にCelsinhoさんや今井さん達とライブをして、あの時味わった感覚をまた感じる事が出来たのは嬉しかったです。
テンポがかなりある曲なのに流れている時間は
とてもゆったりとしている。
これがサンバの魅力だなぁと改めて感じました。
この感覚は恐らく他のジャンルでも所謂スイングする曲には存在する感覚なのではと、推測しています。
スイング(ブラジルではバランソ)の感覚が、自分の人生の時間の使い方にもとても影響を与えてくれた気がしますね。